「採用はできているのに、1年以内に辞めていく」という相談が増えています。採用市場が厳しくなる中で、コストをかけて入社させた人が短期間で離職するのは、組織にとって大きな痛手です。でも、多くの場合、問題は採用の「下流」ではなく「上流」にあります。
問い1:「誰を採るか」の基準は言語化されていますか? ¶
スキルや経験の基準は多くの会社が持っています。でも、「この組織の文化に合う人とはどんな人か」を言語化できている会社は少ない。面接官によって判断基準が違う、という状態が続くと、採用のブレが大きくなります。まず、今いるメンバーの中で「この人が10人いたら最高だ」と思える人を3名挙げ、その人たちの共通点を言葉にすることから始めてみてください。
問い2:入社後90日の設計はありますか? ¶
離職のタイミングで最も多いのは、入社後3ヶ月以内です。「思っていた仕事と違った」「誰に何を聞けばいいかわからない」という理由が多い。入社後90日間、何を経験させ、誰と話させ、どんな状態になっていれば「順調」と判断するか。この設計があるかどうかで、定着率は大きく変わります。
問い3:「なぜここで働くのか」を組織として語れますか? ¶
給与や福利厚生は、定着の「下限」を決めますが、「上限」は決めません。人が長く働き続ける理由は、多くの場合「この組織にいる意味」を感じられるかどうかです。それを経営者が言語化し、日常の中で伝え続けているかどうか。採用面接でだけ語るのではなく、入社後も繰り返し語られているかどうかが重要です。
採用コストより、残った人の話を聞くこと ¶
私たちが医療法人の離職率改善に関わったとき、最初にしたことは採用プロセスの見直しではありませんでした。今いるスタッフ全員に、30分ずつ話を聞くことでした。「なぜここで働き続けているのか」を聞くことで、組織の本当の強みが見えてきます。それが採用基準の言語化につながりました。
離職率の問題は、採用の問題ではなく組織の問題であることがほとんどです。まず、今いる人の話を聞くことから始めてみてください。