「小さな判断に2週間かかる」という相談を受けたとき、最初に確認するのは承認フローの段数です。多くの場合、問題は「誰が決めるか」ではなく「何段階を経なければならないか」にあります。
承認フローが増える理由 ¶
承認フローは、多くの場合「何かが起きたとき」に追加されます。ミスが起きた、情報共有が漏れた、そのたびに「確認のステップ」が一つ増える。5年、10年経つと、誰も必要性を説明できない承認ステップが積み重なっています。問題は、そのステップを「削除する」判断をする人がいないことです。
製造業での事例:7段階から3段階へ ¶
社員45名の製造業の会社で、現場からの提案が月3件しか上がってこないという相談を受けました。ヒアリングをすると、提案書を出してから承認が下りるまで平均2週間かかっていることがわかりました。7段階の承認フローがあり、そのうち3段階は「確認のための確認」でした。3週間の観察の後、承認フローを3段階に再設計しました。6ヶ月後、現場からの提案は月11件になっていました。
「権限委譲」より「判断基準の共有」 ¶
承認フローを減らすことへの抵抗感は、多くの場合「現場を信頼できるか」という不安から来ています。でも、問題は信頼の有無ではなく、「何を基準に判断すればいいか」が共有されていないことです。判断基準を言語化し、現場に渡すことで、承認なしに動ける範囲が広がります。これは権限委譲ではなく、判断基準の共有です。
変えるべきフローの見つけ方 ¶
まず、直近3ヶ月で「承認待ち」になった案件をリストアップしてください。次に、それぞれの承認ステップで「このステップがなかったら何が起きるか」を考えてみてください。「特に何も起きない」と答えられるステップが、削除の候補です。この作業は、外部の視点がなくてもできます。
意思決定の遅さは、組織の文化の問題ではなく、構造の問題であることが多いです。構造を変えれば、文化は後からついてきます。